いつきはいつも思いつき

だいたいは 口から出まかせ ひとりごと

出産 の話 その3

このシリーズを書き始めて1か月半。

ほかに書きたい話題があっても、家事をしていてもこのシリーズの続きを書くことが脳裏にちらついていた。(誰かに強制されたわけでもないけのに。)

 

早くキンタマの話とか、したい。

 

そんなわけで今回がたぶん最終章。(今から書くので終わるかわかんないけど。)これを読み終わったらみんなでキンタマの話をしましょうね。

 

これまでの話未読の方はこちらから↓(別に読まなくてもいいです)

その1

croissantrugby.hatenablog.com

その2

croissantrugby.hatenablog.com

 

 

 

 

 

では本編です。前回は陣痛が始まったもののその日のうちに分娩には至らず、翌日朝10時に陣痛促進剤を投与することになった、という連絡が来たところまで話しました。

 

 

 

9月6日11時

 

いつ分娩が始まってもいいように病院の近くに来ておいて、と妻に言われたので病院から最も近いトレーニングジムへ。懲りずにトレーニングジム。キモい。フルスタック197.5㎏のレッグプレスで気持ちを落ち着かせる。

 

その間、連絡が来るかもとちらちら携帯を見ていたが連絡はなし。マナー的には携帯見るのはあまりよろしくないが平日昼間でガラガラだったので許してね。

 

9月6日13時

 

「今どんな感じ?」と妻にLINEを送ったのち、時間つぶしの有酸素やシャワーも浴びていよいよやることがなくなったので昼食。

 

ここでも下手に凝ったレストランに入ってしまうと、食べ終わる前に「すぐに来てくれ」と連絡が来ても困ってしまうので吉野家へ。牛皿とネギ塩豚のW定食を食らう。

(豆知識1:吉野家の「吉」は正確には「士」の部分の下の棒のほうが長い「吉」)

(豆知識2:吉野家店内で食べるなら絶対定食がお得。ごはん大盛りお替り無料)

(豆知識3:提供早いことを求めて吉野家に入った割にはネギ塩豚という牛丼に比べて少し時間がかかるメニューを頼むミスをしている)

 

そんな配慮もむなしく妻からの連絡は来ないまま10分かからずごはん大盛りの定食を食べきってしまった。

 

9月6日13時半ごろ

 

そんなわけで速攻で昼食が済んでしまったので、さらなる時間つぶし。病院からほど近い図書館に向かう。

 

今更の説明だけど病院から自宅までは自転車で20分くらいの距離。なので、別に自宅で待機していても連絡が来てからすぐに出発すればそこまで時間はかからない。なんだけれども、横にいて声をかけたりはできないけれども、少しでも距離的に近くにいてあげたかったんだと思う。

 

図書館にはPCを開いたりできる自習室があったので、そこでこのブログ(その1)を書いたりしながらさらに待つ、待つ、待つ。

 

12時に送った「今どんな感じ?」に対する返事として、妻から14時前に「今半分超えた」というLINEが来た。促進剤投与するという報告以来4時間ぶりの経過報告に少し安心した。

 

妻の名誉のために、名誉を損ねない範囲で補足するけれども、後から話を聞いたら連絡するのが億劫だったのではなく、本当にガチで痛みがつらすぎてその余裕がなかったんだそうだ。

 

余談だが、なんでも陣痛促進剤の薬の作用としては「子宮を収縮させる」ものであり、「子宮口を開かせる」ものではないから、子宮の収縮とは裏腹に子宮口はなかなかそれに合わせて開かず、痛みがひどくなりやすいのだとか。

 

そんなことも知らずただひたすらに待つことしかできない自分。この時ブログという媒体に気持ちを吐き出すことができていたから、「待つ」ことに徹することができたのだと思う。

 

もし書いていなかったらメンヘラみたいに「今どんな感じ?ちょっとでいいから返事して。無視しないで」とか送ってたかもしれない。マヂャミ。令和のメンヘラギャルはマヂャミとか言いますか?

 

 

9月6日 16時

 

待つことに少しの間達することができたとさっき言った。とか言いながら前回の経過報告から2時間経ってさすがに待ちきれなくなった。令和のマヂヤミギャルになってしまった。

 

ここで「何度もごめん、今どんな感じ?」というメンヘラLINEを送ってしまう。(今LINE見返してるんだけどフラれる前の彼氏みたいでなかなかキモい)

 

当然、返信はなかった。

 

 

9月6日 17時14分

 

ここで突然妻からの電話。そして僕のアホ発覚。待ってる場所、図書館だから電話でれねーじゃん。アホすぎる。

 

着信のバイブを感じながら、ギリギリスタッフさんに怒られない速度で走って建物外に出る。その間に電話は切れてしまった。

 

やはり後で聞くと「なんで出ねえんだよ」って妻は思ったらしい。マジごめん。

 

建物外にでたところで2度目の着信をとる。17時16分。

 

俺が「もしもし」というか言わないかのところで妻の「始まるけんすぐに来て」という一言。「わかった」と返事をしてすぐに切られた。念のためいうけどこれも切れてるんじゃなくてガチで痛すぎて話すのもしんどかったらしい。

 

大急ぎで自習室に戻ってPCをカバンに入れて建物外へ。たぶんギリギリスタッフさんに怒られたであろう速度で自転車に乗り込む。

 

自転車で病院までは3~4分だ。

 

 

 

9月6日17時20分ごろ

 

病院の駐輪場に自転車を止めて病院受付へ。「〇〇(妻の名前)の夫なんですが、出産の立会いで来ました。」と伝える。「そうしたら2階に上がってそこでスタッフにお声がけください」と言われすぐに2階へ。

 

2階のナースステーション的なところにいるスタッフさん。3~4人見えるけれども誰がどんな人かわからない。とりあえず一番手前にいる人に「〇〇(妻の名前)の夫なんですが、出産の立会いで来ました。」という。たぶんめちゃくちゃ早口だっと思う。

 

そんなキモ早口な僕とは裏腹にスタッフさんは落ち着いている。「なんか早くね?」みたいな雰囲気さえ感じる。それもそうだ連絡があってから数分で来るような旦那さんはあまりいないだろう。スタッフさんが誰かを呼びに行き、呼ばれた助産師さんが「それではこちらにお願いしますね」と僕を案内してくれた。

 

分娩室と書かれた部屋の前で「奥さんすごく頑張ってるから、結構壮絶だけど、応援してあげてください。」と言われる。誰にでもいう言葉というわけではないようで、本当にそれまでの過程が壮絶だったことを感じる言葉だった。

 

分娩室に入る。お医者さんか、看護師さんか、助産師さんか、素人の僕には見分けがつかないけど6~7人はスタッフさんがいたのではないだろうか。たくさんのスタッフさんに囲まれて、ドラマで見たことある分娩台に乗った妻はすでに戦っていた。

 

例えようのない苦悶の声をあげながら妻はフウ、フウ、と呼吸し痛みに耐えていた。めちゃくちゃ例え悪いけどウンコ全然でないときの1000億倍痛そう。

 

妻の頭のそばに立って「来たよ」と声をかける。そのあとは妻の手を握ることしかできなかった。「頑張ってるね」「偉いね」とか言った気がするけど、そんな声かけは目の前の光景に対してあまりに無力だった。

 

少しでも力になりたくて、妻にストローの刺さったお茶を差し出す。「要らない」と言われる。

 

 

あまりに無力だった。

 

 

9月6日17時40分ごろ

 

お医者さんから「赤ちゃんの頭見えてきたよ~」という言葉が。

 

まさに光明が差す心地がした。妻の手を握る力も心なしか緩んだ気がするが、自分で自分の記憶を脚色しているだけかもしれない。

 

「あと少しだよ」と声をかける。

 

その通りになった。

 

9月6日 17時46分

 

お医者さんが赤ちゃんの頭をつかんだと思ったら、

 

スポンッ

 

と赤ちゃんが飛び出してきた。

 

めちゃくちゃ小さいけど、確かに人間の形をした娘が生まれた瞬間だった。

 

 

 

妻は僕にへその緒を切らせたかったらしいが、前日に破水してから時間がたっていたこともあり、それは叶わなかった。

 

お医者さんが手際よくそれを切り、我が子は検査へと向かった。緊張が解けた妻と僕は、残された分娩室で僕が到着するまでの様子などを話していた。

 

 

その後しばらくして娘が戻ってくる。幸運なことに、特に異常は見られなかったようだ。そしてそこから2時間の間、妻と僕と生まれたばかりの子の三人で分娩室で過ごした。

 

写真を撮ったり、顔のどこのパーツがどちらに似ているかなどを言い合ったりした。これは親バカではないが、おなかの中でむくみにむくんでパンパンな顔の我が子は生まれた瞬間から宇宙一かわいかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

。。。。それからはまぁ2時間ほどたって妻と子の入院準備で僕は退散。足取り軽く自転車をこいで自宅へ。テンションが高まりすぎて親戚やらSNSやら報告しまくってました。

 

その後は5日の入院後に迎えに行き、自宅で3人で暮らすようになって早一か月半くらい。その間もめまぐるしく子供は成長し、夫婦は喧嘩し、生活スタイルは試行錯誤の紆余曲折を重ねていたりするわけですが、その辺の話はまた追々。

 

 

とにかく、このシリーズを書いたのは、その1でも言及したとおり、この日の「そわそわ」とした気持ちのログを残す意味に加え、「男性目線の出産レポ」の一つとして、世の男性、出産を控えた方が「こんな人がいたけど無事産まれたんだな」という気持ちになればいいな、と願う意図がありました。

 

子が生まれてもはや50日以上たってしまっていますが、今後出産を迎える男性、女性、迎える予定のない人、もうすでに迎えた先輩方がこれを読んで、少しでも何か感じてくれればいいな、と願います。

 

ということで私の初めての出産レポ(というか立ち合いそわそわレポ)はここらでいったんシメとします。

 

延べ1万字超えましたわ。こんな量大学時代も書いたことない気がする。以上です。